下記のエントリーが絶賛、話題中です。
もし「18才〜20代の85パーセントが投票しました」という事態になったら、今回の選挙結果なんかどうでもいいくらい世の中が大騒ぎになって今後の政権運営も国会も次の選挙も大変な変わりようになる。たぶん見てて爆笑できるぐらいにこの国は面白くなる。お願いですから行ってくれませんか。
— 田中泰延 (@hironobutnk) 2016年7月1日
それに対する反応としては、
もちろん、この18〜20代の層が投票したからといって、すぐに何かが大きく変わることはありません。
しかし、変わらないのであれば、結果云々よりもまず関心を持っている期待感が世間に伝わること、今はそれで十分なのではないでしょうか。
彼らがこの後、政治をつまらないものとして捉え、選挙に行かない大人にならないためには、まずは触れることが大切です。
などが出ています。
なるほど、「期待感が世間に伝わる」。
確かにそうですね。
では実際、85%って一体どの程度のものなのか?
可視化しました。
使った資料
まずは年代別の投票数が必要です。
もちろん今回は分からないので過去の選挙の実績です。
実際の投票数が分かればいいのですが、選挙は匿名投票なので、確定情報は存在しません。また、単独での推定情報も発見できませんでした。
そこで、見つけることの出来た2つのデータを使って数字を出します。
年代別の人口
http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm
出典:総務省統計局の2016年データから「2-4 年齢各歳別人口」を取得。
過去の投票率
http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/072sangi/682/
出典:いくつか資料がありましたが、前回の参院選のデータで抽出方法も満遍なく好感が持てた「明るい選挙推進協会」さんの資料を採用。
この2つのデータを掛けて投票数の近似値を割り出し、そこに18-19歳を追加したのが下記の表です。
なお、投票率が5歳刻みのデータなので、例えば30〜34歳であれば、その5歳については同じ数値を掛けています(まあ当たり前)。
なので、おおよその目安であることはご理解ください。でも、実際はそんな誤差など軽く消し飛ぶ、グラフの傾斜になっております。
10代-20代の何%が選挙に行ったら、どうなるか?
1、人気の投稿のように10代〜20代の「85%」が投票した場合
はい、確かにメチャグラフが伸びますね!これは確かにインパクトあり!革命が起きるレベルです。
しかし、現実問題として85%は、さすがに難しいのではないでしょうか。一番多い70〜74歳でも、70.94%です。
しかも、ここまでやっても、40代の投票数と大差ありません。さらに言うと、団塊世代の壁の様な盛り上がり方と言ったら…。85%でも、太刀打ちできません。
ともあれ、もう少し現実的に考えてみましょう。
2、全体の平均に近い「50%」が投票した場合
前回の参院選、全体の投票率は52.16%でした。
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/
出典:総務省。
これは全体の数字なので確定値です。なお上記で使った「明るい選挙推進協会」さんの現地測定が54.13%なので、精度としては充分と言えます。
さて、この場合だったらどうなるか?
あっという間にしぼんでしまいました。30代には並びますが、40代には負けてしまいます。ましてその上の世代には…。
ただ、「現状維持」を果たせる程度にはなるでしょう。でもあくまで現状維持です。
では、続いて悲観的な数字も考えてみます。
3、過去の数字に近い「30%台」だった場合
前回の参院選での20〜24歳の投票率は、31.18%、25〜29歳は35.41%でした。
それと同等の数が投票に行った場合がここのグラフです。
普通に人口ピラミッド通りになります。全体の投票数に占める割合も、「8.8%」にまで落ち込みます。
では、方法はないのか?
1つだけ、可能性があります。
それは「目立つ」ことです。10代〜20代が頑張ってみても、50%程度では全体の中に埋没してしまいます。
「目立つ」ということは、徹底的に数で押すか、数で勝てない場合は、いかに「他と違って見えるか」です。
数で押せない以上、逆に数を絞ってみることも作戦です。世間的にも、18歳はザ・若者ですが、29歳などはもはや同世代とは言えないでしょう。
18〜19歳の過半数は、高校を卒業しています。近い年代と言えば、大学生なら4年生=22歳前後。社会人であっても、2〜3年先輩であれば充分話が通じるはずです。
そこで、20代後半なんかけ飛ばして、上の3年を加えた「5年組」で考えてみてはどうでしょう。
2年前の衆議院選挙の時に選挙権のなかった18〜19歳は、いま20〜21歳に当たり、同じ「国政選挙最初組」でもあります。
ですから、この年齢層が、18〜19歳に負けてられないと、背中を押されて選挙に行ったとしたら?
4、18歳〜22歳以下の85%が選挙に行ったら!?
どうでしょう?これも先ほど同じく、「革命」が起きるレベルではないでしょうか?
少なくとも政治家の人は腰を抜かして、慌てて姿勢を切り替えることは確実です。
もちろんこれは先ほどと同じく、現実的な数字ではありません。
では、「普通に」全年代の平均である、50%が行ったらどうでしょう?
4、18歳〜22歳以下の50%が選挙に行ったら!?
こんな感じになります。
敢えて、23以上の層がこれまで通りの低い数字になっていることが、相対的に「目立つ」結果をもらたします。
全体平均の50%は、決して無謀な数字ではありません。それでこの見た目のインパクトであれば、目指す価値があるのではないでしょうか?
22歳以下=大学生の年代が少し本気を出せば、「なんだこの世代は!?」「時代が変わるかもしれない」というインパクトを出せます。
5、18歳〜19歳の50%が選挙に行ったら!?
最後に、もっと先鋭的に、今回年齢の引き下がった18〜19歳が選挙に行ったら?を考えます。
スバリ、こうなります。
どうでしょう。全体から見た得票数ではもちろん話になりません。線も細いです。しかし、その分、さらに特殊的に目立って見えるのではないでしょうか。
そうなると、選挙年齢引き下げのニュースとバッチリ相乗効果が生まれ、どの政党も「最初が肝心だ!」とばかり、次回以降も重視してくることは間違いありません。
また上の20代も後輩に抜かれて、焦りを感じることでしょう。
結論
基本的には、20歳前後の世代への指南としては、「30%の投票率を50%にしよう!」になります。
が、実戦的な効果を考えた時、無理して20代全体に動員をかける必要はありません。「今回引き下がった年齢の18〜19歳」、「最初の国政選挙に当たる人」がまずは一発噛ませば、面白くなります。
とくに大学生の人は「取り敢えず行ってみた」で全然構わないので、行ってみてはいかがでしょう。
あ。もし土曜に「期日前投票」に行くなら、ここのマップで近くの投票所をチェックしてみて下さいね(最後に宣伝入った)
都道府県別のマップを見る(ない県の方、ごめんなさい)
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